御曹司はかりそめ若奥様を溺愛中
自分が鈴城君の特別じゃないのはわかるし

一緒に暮らしていてもご飯は別々なのもわかってるけど

期待しちゃいけないのにどうしても期待してしまう。

そしてその期待が外れるとがっかりして・・・後悔。

私は我が儘なのかな・・・私は心の中で大きな溜息を吐いた。

その後も、特に会話もなく

自分たちが呼ばれるまでひたすら待った。

そして25分待ってやっとカウンター席に座りメニューを広げようとすると

急に鈴城君がメニューを取り上げた。

「ちょっと・・・私何も決めてないよ」

いくらなんでもそりゃないよ。と横目で睨むと

鈴城君は私の肩に触れるほど顔を寄せてきた。

「ここは、とにかく塩ラーメンがうまいんだ。ほら周りを見てよ」

自信満々の笑みを浮かべる鈴城君にドキッとしたが

私は言われるままちらりと横の人と後ろのテーブル席に目をやった。

すると鈴城君の言うとおり、みんな塩ラーメンを無言ですすっていた。

「だろ?」

私はうんうんと無言で頷くと

鈴城君は「塩2つ」と目の前の厨房にいる大将に注文した。

「ねえ・・・鈴城君ってよくここに来るの?」

さっきから気になったが、カップルで来ている人や中には女のお客さんも

いるんだけどその人たちの視線がやたらと鈴城君に向かっている。

イケメンってだけでテレビにまで出ちゃったんだもん仕方がないかもしれないが

これじゃ~落ち着いてラーメン食べられないんじゃないの?と心配してしまった。

「結婚する前はよく食べに来ていたよ。結婚してからは今日が初めてかな・・・」

鈴城君は頬杖を付きながら大将の動きをじーっとみていた。

まじ?結婚してから初めてって・・・

私はその言葉だけでドキドキしてしまった。
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