御曹司はかりそめ若奥様を溺愛中

駐車場について車に乗ると14時を少し過ぎていた。

これでデートは終わりかな･･･

車がゆっくりと動き出した。

一緒に暮らしているのに何だか家に帰ることに寂しさを感じてしまう。

だが、車は家とは逆方向を走っていた。

そのことに気づいた私が鈴城君の方をみた。

「夕飯までちょっとドライブに付き合ってよ」

思いがけない鈴城君の言葉に私はまたもドキドキしていた。



車は海岸沿いを走っていた。

天気がいいから遠くのものがよく見える。

「ねえ！島が見えるよ」

「すごい！釣り日和なのかな～釣り人いっぱい」

私は一人ではしゃいでいた。

すると鈴城君は海岸ちかくの駐車場に車を止めた。

エンジンを止めると鈴城君が車から降りたので

私もつられるように車から降りると

大きく背伸びした。

潮の香りがす～っと鼻をくすぐった。

「海なんて久しぶり」

私が駐車場のベンチに腰掛けると「ほらっ」と

私の前に缶コーヒーを差し出した。

鈴城君は私が受け取ると同時にベンチに腰を下ろした。

そしてコーヒーを一口飲むと何か考えるように海を見つめた。

「あのさ・・・」

鈴城君は何か大事な話があるみたいに真面目な表情だった。

「なに？」

私までドキドキしてきた。どんなはなしだろう・・・

すると鈴城君はもう一口コーヒーを飲むとゆっくりと話し始めた。

「今やってるプロジェクト・・・・本格的に始るんだ」

「え？」