恋する気持ち。
そして山井さんをちらっと見ると


「これが、隠れてて欲しかった理由？」


と怖い顔して尋ねてくる。

「なに言ってんの！？違うしっ！ちょっととりあえず離してよ！」

なんか勘違いしてる須賀に、動揺しながらも私は山井さんの方を振り返る。


「すみません。山井さん。お疲れさまです。」


山井さんは何も言うことなく優しく微笑んで、須賀の方を見て『こんばんは。』と挨拶すると私にも『おつかれ。』とだけ短く挨拶してスッと帰っていった。


私、山井さんのこういうところが好きだったりする。
まわりの空気を読んで、騒ぎ立てる事もしない、なんていうかその場を優しくするような空気感。
大人だなぁ……って、余裕があるなって、
尊敬する。


たいがいは、年齢だけ大人で中身は子供の人が多いから。

去っていく山井さんの背中をそんな事を思いながら、ぼーっと見つめていると、一気に現実に引き戻す、悪魔の声。



< 13 / 55 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop