恋する気持ち。
「まぁ。それが良かったんだけどな。恭華は、俺に媚びることなかったもんな。」


そう嬉しそうに笑う。


「で。話戻すと。今年に入って親父が突然俺を呼び戻そうとしたんだ。長男に、SYグループを任せるが、その中でも不安のある不動産関係を俺に手伝えと言ってきてね。」


須賀は運ばれてきた前菜をナイフとフォークで綺麗に口に運ぶ。育ちのよさが滲み出ていた。


「もちろん断ったよ。なんのやりがいもないからね。」


私も前菜を味わいながら、質問する。


「じゃあなんでここにいるのよ。」


「あったんだよ。日本にやり残したこと。」


そしてまた、あの妖しい瞳で私を見つめる。


「俺の人生の中で唯一、思い通りにいかなかったこと。人生で1度だけ自分から好きになった女性に想いを告げれなかったこと。………だから親父に条件を出したんだ。」



< 18 / 55 >

この作品をシェア

pagetop