恋する気持ち。
なんだかだんだん、話が読めてきた。



「美波 恭華と結婚させろってね。まぁ、半分は冗談だったけど。さすがだね。半年もせずに縁談をこぎ着けてきたよ。」


なるほど。そういうことですか。
それは簡単に縁談まとまりますよ。
わが家にとってそれは、とてもいいお話だもの。


「んー。でも恭華が言うのもわかるよ。」



「……なんのこと?」



「その、恋愛してからっていうの。やっぱり親に言われて結婚するようじゃちょっとね。」


私は思わず立ち上がりそうになるのを必死に押さえながら、須賀に詰め寄る。


「ねっねっ!そうでしょ!?だからさっ……」


「でも。」



「でも?」



「だからと言って、縁談を白紙にして恋愛からやり直すほど俺はお人好しでも、純粋でもない。あきらめてね。大丈夫っ!俺は恭華のこと愛せる自信あるし。」


私はポカーンと口を開けて須賀を見つめる。
こいつ、どこまで腹黒いんだっ!


「とりあえず、伊織って呼べよ。」


そうご機嫌に、ワインを煽る。


「あっ。俺以外の男。とくに今日のあいつとかに、うっとりするの禁止な。」


あー頭いたい。
この俺様どうにかしてくれっ!!
私はせっかくの料理もまったく味わえず、どうしたらいいのか、そればっかり考えていた。











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