恋する気持ち。
「ところで。」


すずが、フォークを置くとイタズラっぽく笑う。


「今週の飲み会、山井さんも来るみたいですよ?」


「えっ!?うそっ!山井さん来るんだっ!」

私は思わずにやけてしまう。


「もー先輩ってば。やっぱり、山井さんが気になるんですね。私だったら100ー0で、須賀さんなのに。」


すずが、小さくため息をつく。


「えーなんでー。須賀と山井さんだったら、断然山井さん!まぁ、結婚してるけど。」


「先輩、あの噂知らないんですか?山井さんが、フロア異動した理由。」



すずに言われて、ちょっとだけ私の顔が曇る。

山井さんが、フロア異動した理由。
それは、あるブランドのBAの女の子に言い寄ったから。
っていう噂。
ちょうど山井さんが異動になる直前に、その子は店を突然辞めたから。


でも、私はそんなの信じてないもん。
あの山井さんが、そんな事するはずない。


「先輩はそういうとこ、純粋すぎますって。少しは疑ったり、危機感もたないと。……山井さん、先輩の事お気に入りですし、今度の飲み会が心配ですよ。」


「そんなこと、ないと思うんだけどなぁー。」


そう言うとすずは、『まったくもう!』と怒っていたけど。
やっぱり、私には山井さんが悪い人には思えないんだもん。






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