オフィスにラブは落ちてねぇ!! 2
愛美はコンビニで支払いを終え、ついでに明日の朝食用のパンを買ってマンションに戻った。

エレベーターを降りて廊下を歩いていると、自宅のドアの前で誰かがうずくまっている事に気付いた。

(あれ、もしかして…。)

その人は小さな子供のようにうずくまり、膝を抱えた腕の中に顔をうずめている。

仕事着のスーツ姿のままだけれど、それは間違いなく“政弘さん”だ。

愛美はゆっくりと近付いた。

“政弘さん”は肩をふるわせ、小さくしゃくりあげているようだった。

「政弘さん…?」

声を掛けると、“政弘さん”は手の甲でごしごしと目元を拭って顔をあげた。

「愛美…。」

目元を涙の跡でいっぱいにして、赤くなった目を潤ませている“政弘さん”に驚き、愛美はキョトンとしている。

「どうしたんですか?あの後、二次会に行ったんじゃ…。」

“政弘さん”は立ち上がり、愛美を強く抱きしめて肩口に顔をうずめた。

「俺の子じゃないの?」

「えっ?!」

(なんの事?!)

“政弘さん”の唐突な言葉に、愛美は意味がわからず困惑する。

「もう愛美を泣かせたりしない。つまらない意地張るのも試すのもやめるから、あいつと結婚なんかしないでよ…。俺が父親になるから。」

「えぇっ?!」

(あいつって…健太郎の事?!父親って何?!)

何がどうなってそんな話になっているのか、話がまったく見えて来ない。

“政弘さん”はすがりつくように必死で愛美を抱きしめる。

「あの…とりあえず、中に入りましょう。」







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