オフィスにラブは落ちてねぇ!! 2
弱い男の嫉妬と自己嫌悪
緒川支部長は、厨房で手早く料理を作っている健太郎を見ながらため息をついた。
(なんでよりによってこいつと晩飯…?)
なりゆきとは言え断り切れず、健太郎と一緒に夕飯を食べる事になってしまった。
緒川支部長はスーツの内ポケットからスマホを取り出し、“営業部長に飲みに行こうと誘われたから今日は帰りが遅くなる”と愛美にメールを送った。
嘘をつく必要などないのかも知れないが、健太郎と一緒にいるとは、なんとなく言いづらい。
(晩飯食ったらさっさと帰ろう…。)
“お疲れ様です。
飲みすぎないように気を付けて下さいね。”
愛美からの返信は短く、感情も感じられず、恋人ではなく上司に送るメールのようだった。
(遅くなってもいいから来て、とか…たまには言ってくれないかな…。)
しばらくすると、健太郎は手際良く作った料理をテーブルの上に並べた。
「試作品の材料の残りで作ったんで、たいしたものはないんですけど…。」
「いや、じゅうぶんだよ。この短時間でこんなに作れるなんて、さすがはプロだな。」
「緒川さん独身ですよね?料理はしますか?」
「いや、料理はまったく。この歳になって恥ずかしいけど、米も炊いた事ないよ。やっぱり少しくらいはできた方がいいかな。」
取り皿と箸を手渡しながら健太郎は笑う。
「緒川さんモテそうだから、毎日手料理を食べて欲しいって言う女性の一人や二人、いるでしょう。」
「どうかな…。そう思ってもらえるといいんだけど。」
(俺が料理できないのを愛美がどう思ってるかなんて、聞いた事ないよ。)
料理がまったくできない自分にとって、料理では健太郎に対して勝ち目がない。
プロの腕前には敵わなくても、いずれ結婚した時のために、やっぱり少しくらいは料理を覚えた方が良さそうだ。
(なんでよりによってこいつと晩飯…?)
なりゆきとは言え断り切れず、健太郎と一緒に夕飯を食べる事になってしまった。
緒川支部長はスーツの内ポケットからスマホを取り出し、“営業部長に飲みに行こうと誘われたから今日は帰りが遅くなる”と愛美にメールを送った。
嘘をつく必要などないのかも知れないが、健太郎と一緒にいるとは、なんとなく言いづらい。
(晩飯食ったらさっさと帰ろう…。)
“お疲れ様です。
飲みすぎないように気を付けて下さいね。”
愛美からの返信は短く、感情も感じられず、恋人ではなく上司に送るメールのようだった。
(遅くなってもいいから来て、とか…たまには言ってくれないかな…。)
しばらくすると、健太郎は手際良く作った料理をテーブルの上に並べた。
「試作品の材料の残りで作ったんで、たいしたものはないんですけど…。」
「いや、じゅうぶんだよ。この短時間でこんなに作れるなんて、さすがはプロだな。」
「緒川さん独身ですよね?料理はしますか?」
「いや、料理はまったく。この歳になって恥ずかしいけど、米も炊いた事ないよ。やっぱり少しくらいはできた方がいいかな。」
取り皿と箸を手渡しながら健太郎は笑う。
「緒川さんモテそうだから、毎日手料理を食べて欲しいって言う女性の一人や二人、いるでしょう。」
「どうかな…。そう思ってもらえるといいんだけど。」
(俺が料理できないのを愛美がどう思ってるかなんて、聞いた事ないよ。)
料理がまったくできない自分にとって、料理では健太郎に対して勝ち目がない。
プロの腕前には敵わなくても、いずれ結婚した時のために、やっぱり少しくらいは料理を覚えた方が良さそうだ。