オフィスにラブは落ちてねぇ!! 2
朝礼の終わりに、今日から第二支部に所属する事になった新人の紹介があった。

金井さんの“子”の原田さんは、中学生の双子の子供がいるらしい。

里山さんの“子”の倉橋さんは、3人の子を持つバツイチのシングルマザーなんだそうだ。

“親”のいない佐藤さんは、保険の営業職員には珍しく独身の30歳で、ずっと派遣社員として大手化粧品メーカーの美容部員をしていたと言う。


愛美は内勤席で新人の自己紹介を聞きながら、佐藤さんの美しさに見入っていた。

(美人だな、佐藤さん…。さすが美容部員やってただけあって、肌が白くて綺麗…。おまけにスラッとしてスタイルもいいし大人の女の色気もある…。なのになんで独身?)

今時30歳独身なんてなんの不思議もないが、あれだけの美人だからきっとモテるんだろうな、などと愛美は勝手に想像する。

(歳だけは私の方が3つ若いけど、肌年齢はあちらの方が若いかも…。)

男は美人に弱い。

うかうかしていると、同行などで行動を共にする機会が多いであろう緒川支部長も、佐藤さんの色香にやられてしまうかも知れない。

(ちょっと気を抜き過ぎだな、私…。今日から念入りに肌の手入れしよう。ダイエットとかもした方がいい?それともエクササイズか…?)

特別太っているわけではないけれど、体の所々に気になる無駄な肉がついているなと思う。

佐藤さんに比べると胸のボリュームも腰のくびれも物足りないし、色気にはほど遠い体型だと愛美は肩を落とす。

(一体何から手をつければいいのやら…。)



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