オフィスにラブは落ちてねぇ!! 2
朝礼の後、愛美は新人たちに説明をしながら、いくつもの提出書類を配布した。

すぐに提出する必要のある書類に新人たちが記入し始めると、愛美は佐藤さんの手元をチラリと覗いた。

佐藤さんの、綾女( アヤメ)という名前の響きが素敵だなと愛美は思う。

(佐藤さん、容姿だけじゃなくて名前まで綺麗なんだよねぇ…。)

“川南第二支部にはイケメン支部長だけでなくすごい美人な営業職員がいる”と社内で話題になりそうだ。

(支部長と佐藤さん、背も高いし二人並んでるとすごい迫力だな…。圧倒される…。)

美男美女という言葉がこれほどぴったりと当てはまる男女もなかなかいないだろう。

佐藤さんのそばにいるのが同じ女としてなんとなく恥ずかしくなり、愛美は書類を配り終えるとそそくさと内勤席に戻った。

(今はそんな事より仕事仕事!!)

女子力では敵わない分、仕事で頑張ろうと思ったものの、今月は増産月の後で気が緩んでいるのか、営業職員のオバサマたちの仕事のペースが遅い。

契約に関する処理はないので、年度末の支部会計報告に備えて、パソコンの支部経費出納帳を開いて間違いがないか確認する事にした。

(暇すぎるのも困るけど、できる時にこういう細かい仕事をやっとかないと。)


その後も愛美は、パンフレットの補充や備品のチェックなど、忙しい時にはなかなかできない細かい仕事をした。

備品のチェックを終える頃、緒川支部長が新人研修の終わりを告げる声が聞こえた。

時間は10時半をまわったところだ。


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