オフィスにラブは落ちてねぇ!! 2
内勤席の奥にある備品用ロッカーの鍵を締め、コーヒーでも飲んで一息つこうと愛美が立ち上がろうとした時。

「おはようございまーす!!」

背後からの突然の大声に驚いた愛美は、思わず慌てて立ち上がろうとしてバランスを崩し、足首をひねって転んでしまった。

「いったーい…。」

(急にデカイ声出したの誰だよバカ!!)

床にへたり込み痛む足首を押さえていると、慌てた様子で健太郎が駆け寄ってくる。

「大丈夫か?」

「バカ…大丈夫じゃないよ…。痛い…。」

「ちょっと見せてみろ。」

健太郎は愛美の足首に手を添えて、ゆっくりと動かした。

「これ痛むか?」

「痛いわ!!動かすな!!」

あまりの痛さで、愛美の目に涙がにじんだ。

「あー…結構派手に捻挫してるな…。」

「バカー!!健太郎のせいだー!!」

健太郎は泣きそうになっている愛美の頭を、ヨシヨシと撫でた。

「ごめん、悪かったって…。」

愛美と健太郎の声を聞きつけて、支部のオバサマたちが何事かと集まってくる。

「どうしたの?」

世話焼きの金井さんが、いち早く声を掛けた。

「あー…捻挫させちゃったみたいで…。湿布とかありますかね?」

「あら大変!救急箱持ってくるわね。」

健太郎は愛美の体をヒョイと抱き上げた。

まわりのオバサマたちが、健太郎にお姫様だっこされている愛美を見てにやにやしている。

「菅谷さんが怪我してるのに不謹慎だけど…こういうの憧れるわよねぇ。」

「若いっていいわぁ。」

コソコソ話にはあまりに大きすぎるオバサマたちの声がイヤでも耳に入り、愛美は真っ赤になって健太郎の腕の中でもがいた。

「恥ずかしいから降ろして!!」

「危ないから暴れんな。愛美の椅子に降ろしてやるから。」



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