オフィスにラブは落ちてねぇ!! 2
健太郎に横抱きにされている時、緒川支部長と一瞬目が合った。

(いくらなんでも、この状況はちょっと気まずい…。)

早く離して欲しいのに、健太郎は愛美を抱いたまま緒川支部長の方をじっと見ている。

「健太郎!早く降ろしてよ!」

堪らず愛美が声を掛けると、健太郎はニヤッと笑って愛美の顔を見た。

「ん?ああ、悪い。」

健太郎は愛美を内勤席の椅子にゆっくりと降ろして、金井さんから渡された救急箱を開けた。

「これ履いてると湿布貼れなくね?脱げば?」

(これって…ストッキング脱げってか!!)

健太郎の指先が愛美の足をツツーッと撫でた。

「…ってか、脱がしてやろうか?」

過激な言葉にうろたえた愛美は、真っ赤な顔をして健太郎の肩をグーで殴った。

「スケベ!!変態!!本物のバカじゃないの!!」

「じゃあどうする?破っちゃう?」

「脱がないし破らないよ!!そこにスプレーのやつがあるからそれでいい!!」

「なーんだ、バレたか。つまんねぇなぁ…。」

「ホント最低…。そういうのをセクハラって言うんだよ。」

健太郎は救急箱からアイシングスプレーを取り出し、愛美の足首に吹き付けた。

「つめたっ…!」

「いやがらせのつもりはないんだけどな。」

「セクハラされたかどうかは、受けた側がどう感じたかだからね。気を付けなよ。」

「じゃあ愛美がいやがらなかったらセクハラじゃないんだ。」

スプレーの蓋を閉めながら健太郎が呟いた。

「俺は愛美以外にそんな事したいと思ってないから。」

「え?」

(何言ってるの?)




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