オフィスにラブは落ちてねぇ!! 2
2時前。

「菅谷。」

営業部から戻ってきた緒川支部長は、内勤席で書類を整理している愛美のそばに来て声を掛けた。

ゆっくりと顔を上げた愛美は、どこか浮かない顔をしていた。

「…?どうかしたのか?」

「いえ…。何か?」

「病院連れてくって、さっき言っただろう。」

「これくらいで病院なんて大袈裟です。」

愛美は素っ気なくそう言って顔をそむけ、また書類の整理をし始めた。

緒川支部長は眉間にシワを寄せて、椅子ごと愛美の体をくるりと自分の方に向けた。

「わっ…!なんですか、いきなり!!」

愛美の声を無視してその場にしゃがみ、緒川支部長は愛美の足首に手を触れた。

「すごい熱持ってる。こんなに腫れて、全然大丈夫じゃないだろ。」

「仕事終わってから帰りに行きます!」

「うるさい、つべこべ言うな。今すぐ行くぞ。保険証忘れるなよ。」

愛美は口を真一文字に結び、膝の上で固く拳を握りしめている。

なかなか言う事を聞かない愛美に苛立って、緒川支部長は愛美を肩に担ぎ上げた。

「ちょっ…!!何するんですか!!」

「病院連れてくんだよ!」

「降ろして下さいよ!人を米みたいに…!」

「言う事聞かない菅谷が悪いんだろ!」

激しく言い合う二人の様子を、オバサマたちは楽しそうに笑って眺めている。

「今日のはまた激しいわねぇ。」

「激しさで言ったら今までで一番でしょ。」

「やっぱり支部長と菅谷さんはこうでないとつまらないわね。」

「久しぶりじゃない?第二支部名物、支部長対内勤さん。」

二人の激しいバトルを初めて見る新人たちは、驚いてポカンとしている。


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