オフィスにラブは落ちてねぇ!! 2
緒川支部長は自宅に帰り就くと、ネクタイをゆるめてドサリとソファーに身を投げ出した。

(泣かせちゃったよ…。めちゃくちゃ大事にするって約束したのに…。)

涙を流し体を小刻みに震わせていた愛美の顔を思い出すと、胸が引き裂かれそうに痛む。


ひどい事を言ってしまった。

隠していた自分の弱さを押し付けて、一方的に愛美を責めた。

(長い間片想いして、嫌いだって言われても一方的に好きだって言い続けて…。やっと俺の事好きになってくれたのに、あんな事して嫌われたかも…。)

他の男になんか触れさせたくない。

自分だけを見て欲しい。

もっともっと愛されたい。

愛美を離したくない。

ずっと一緒にいたい。

いろんな想いが頭の中を駆け巡る。

愛美は今、何を思っているだろう?

嫉妬したり焦ったり、必死になっているのは自分ばかりだ。

愛美以外の女性にはなんの興味もないし、疑われるような事は何一つない。

(もしこのまま俺から何も言わなかったら、愛美は俺のために悩んだり泣いてくれたりするのかな…。俺がもし他の女の子と一緒にいたら、嫉妬なんかするんだろうか…。)

そんな事、今まで思いもしなかった。

顔中涙でぐちゃぐちゃにして、みっともないくらい取り乱して、“好きだからどこにも行かないで、ずっと一緒にいて”と愛美の方から言ってくれたら、ちゃんと愛されているのだと感じられるだろうか。

愛されているのだと確かめられたら、きっと今より安心してそばにいられるのに。

人の気持ちを試すなんて卑怯だとは思う。

だけどどうしても、愛美の本心を知りたい。

(一人でジタバタして、俺バカみたいだ…。)


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