ねぇ、松風くん。~潤*祐樹side~
「…ちょーだい、苺ちゃんの。」
俺の言葉に目を見開いた苺ちゃんは、カバンから可愛くラッピングされた包みを取り出す。
「…あげる。」
そう言って差し出す手が、気のせいか?少しだけ震えてる。
「ありがとう。…他には?言うことないの?バレンタインだよ。」
なんて、ちょっと告白を急かしたりしてみても
「…え、あ……ない!1番に渡せたから満足した。他の子からも貰っていいよ。」
だって。
「…ふぅ〜ん、じゃあ貰お。」
「……………。」
わっかりやす。
めっちゃ嫌そう。泣きそう。
「HR始まるから教室に戻るね。」
笑いを堪える俺に、涙を堪える苺ちゃんはそれだけ言って背を向け、教室を駆け足に出て行ってしまった。