ねぇ、松風くん。~潤*祐樹side~
イルカ達が華麗なジャンプを決めて、イルカショーは大成功で幕を閉じた。
「…こら。結局、最後までイルカショーに集中してなかったでしょ。」
頬を膨らませて怒っている苺ちゃんは、残念だけど怖くねぇよ。
「…ちゃんと見てたって。」
「嘘!…そんなに苺のこと好きなの?先輩。」
ニヤッとからかうような苺ちゃんの言葉に、思わず息を呑む。
「…………好きだよ。」
「…え…?」
「苺ちゃんがすげぇ好き。可愛くて仕方ねぇの。」
「……嘘。」
俺の告白に固まったまま動けない苺ちゃんをよそに、イルカショーを観終わった客達は次々に席を立つ。
「嘘に聞こえる?」
「…嘘にしか聞こえない。」
おいおい、散々だな。
でも、信じてもらわないと俺 困る。
「………はい。これ。」
「…これ、どうしたの?」
初めて電話で呼び出された日、UFOキャッチャーで取ってやれなかった小銭入れ。昨日、放課後に行ってめっちゃ頑張って取って来た。
「…何回目で取れたかは聞かないで。」
「………バカ。センスないくせに。」
それだけ、苺ちゃんのこと好きなんじゃん。察してよ。