ねぇ、松風くん。~潤*祐樹side~
その日の夜。
ムシャクシャした気持ちは落ちつかねぇし、綾瀬の悲しげな顔ばっか浮かんでくる。
「っくっそ!!あーー。」
ベッドに深く沈みながら、スマホに手を伸ばし電話帳を開く。
こんな奴に、頼りたくなんかなかったけど…仕方ねぇか。
【 松風 】のページを開き、電話番号をタップし、耳に押し当てれば
しばらくの機械音のあと、
「ーーー…もしもし」
そいつは面倒臭そうに電話に出た。
「俺からの電話だってのに、何だよそのトーン。」
「…俺、忙しいんだけど。」
忙しいって、どうせ優さんと電話したいとかそんな事だろ。
「優さん譲ったんだから、相談乗れよ。」
「…優は、俺んだよ。初めから。」
「あ?ほざけ。」
くっそ腹立つ。やっぱ電話する相手間違ったわ。