ねぇ、松風くん。~潤*祐樹side~


ーーーガラッ


勢いよく開けた空き教室のドア。

一歩踏み入れれば、すぐに目に飛び込んできたのは、窓から外を眺める綾瀬だった。


「お、おはよう、早川くん。」


俺に気づき振り向けば、下手くさい笑顔を向けた。


あー、俺 言えんのかな。
いつもの俺なら、間違いなく『俺と付き合え。』とか、言うんだろうけど、


この後に及んでそんな発言して、これ以上 嫌われたら…

って、マジで柄じゃねぇー!!


「あの!!…昨日は、ご、ごめんなさい!」


「……は?」


色々考えてた俺に、いきなり綾瀬が頭をさげるから、何が何だか分からず間抜けな声が出ちまう。


「…そ、その…あのね!早川くんが側にいるとダメなの!」


…っ、どんだけ嫌われてんの俺。


「…早川くんと隣の席になって、初めて教科書見せた日。くうって名前…大事にしろって言葉、すごく嬉しかった。」

「…っ、」


何だよ、何が言いたいのかサッパリ…


「は、早川くんに、キスされた日。泣いちゃったけど…嫌じゃなかった。」

「…っ!!」


じゃあ、何で怒ってたんだよ。シカト決め込んで来たくせに。
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