青と口笛に寄せられて
次に訪れたのは、スープカレーのお店。
ガイドブックに載ってるだけじゃなくて、ネットで調べても必ずすぐに出てくるお店なだけあって、とても人気があるようで。
お昼時に行ったってこともあり、行列に巻き込まれることとなった。
啓さんは面倒くさそうに、でも文句は言わないで一緒になって並んでくれた。
一軒家レストランのそのお店は中は思ったより広くなくて、席数も少なめ。
だけどスープカレーのお店でゆったりくつろぐ人なんてそうそういないので、お客さんの回転は早い。
骨付きチキンの海老ベースのスープカレーがテーブルに届いた頃には私のお腹はグーグー鳴っており、記念に携帯で写真を撮るのもすっかり忘れてがっついてしまった。
「海老の香りが〜、スープも濃厚〜、野菜も柔らか〜い、お肉がホロホロ〜」
うまうま言いながら食べ進めていると、啓さんが笑った。なんだか楽しそうに。
「幸せそうだな」
「幸せです」
即答した私は、あまり深く考えずにオウム返しした。
「啓さんは幸せですか?」
「………………うん」
ほんの少し間を置いて、彼はうなずいた。
あらら、なんだか死ぬほど嬉しくなってきちゃったじゃないの。
もはや啓さんは視線を落としたままスープカレーを口に運んでいる。
美味しいスープカレーを食べているから幸せなんだ、錯覚しちゃダメよ深雪。
自分に言い聞かせた。