青と口笛に寄せられて
予想外の追加の運動により、私の身体はさらにだいぶ酷いことになった。
歩くたびにブリキみたいに体のあちこちが軋み、痛くて飛び上がりそうになる。
一方の啓さんは、ちっともこたえていない様子でスタスタ歩いている。
どうなってるの、彼の体力。
早めにホテルを出て、予定していた通りに雪印パーラーを目指した。
歩くのも、車の乗り降りもひと苦労。
雪印パーラーの2階席に向かうために階段をのぼるのもひと苦労。
おばあちゃんみたいな歩き方しか出来ない私を見て、ケラケラ笑う啓さんを恨んだ。
「誰のせいだと思ってるんですか〜」
「悪かったよ。でもほら、念願のパフェが食べれるんだから我慢しろって」
席に通されて、何を注文するか迷いに迷った。
かなりの種類のパフェやサンデーがずらりと並んでいて、どれも美味しそうで迷う。
結局悩みに悩んで、生キャラメルと生チョコがふんだんに使われたサンデーに決めた。
啓さんは定番のバニラアイスにしていた。
生クリームが嫌いらしい。
注文したものが届くまでの間、何気なくポケットから携帯を取り出して画面を見たら、妹からのラインの通知が届いていた。
珍しいな、と届いた文面を読んで思わず声が漏れた。
「え!?嘘!?」
ただならぬ空気を感じ取って、啓さんが首をかしげた。
「何かあったのか?」
深刻なわけではない。
そういうわけじゃないけど、これはなかなかの急展開だ。
「い、妹が…………」
「つば九郎ファンの?」
「つば九郎からは離れてくださいよ!…………どうやら、妹が遊びに来るみたいなんです……」
「ここに?」
「はい……」
目を伏せてうなずいた私に、啓さんは「何かまずいのか?」と怪訝そうに眉を寄せた。