青と口笛に寄せられて


ご飯粒を口から飛ばしながら怒る南田さんは、私の意思を確認するように視線を送ってきた。


「ねぇ、でも深雪ちゃんはリハビリが終わったら紋別に戻るんでしょう?お仕事が好きって言ってたものね」

「………………まだ分からないです」

「そうなの?どうして?」

「居場所がなくなってそうで怖くて……」

「居場所?」


キョトンとした顔をした南田さんは、一瞬黙り込んだあとフッと微笑んだ。
バカねぇ、というようなつぶやきが聞こえてきそうな顔だった。


「居場所なんて、そこにあるものじゃないでしょ?自分で作るものよ。なくなってたら、また作ればいいだけのこと」

「み、南田さぁ〜ん」


泣きそうになりますから優しい言葉をかけないで下さいお願いします!
と、目を潤ませて笑いかけた。


だけど、北海道に戻りたい気持ちとは裏腹に、まだ解決していないことがある。
それは、私の家族。


ちゃんとゆっくり仕事について話し合うことが出来ないままで、ここまで来てしまった。
どうも家族が集まると、みんなでこの話題をさりげなく避けるようになってしまって。
それで長引いているというのもある。


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