青と口笛に寄せられて
入院してから、泰助さんと裕美さんに怪我の具合の報告をするために電話をした。
その時に彼らはこう言ってくれた。
「人が足りないからって働かせすぎてしまった俺たちにも責任はある。本当に申し訳なかった。深雪ちゃんがいないとみんな寂しがってるよ……、もちろん、犬たちもね。怪我が治ったら戻ってきてね。待ってるから」
私は戻ってもいいのかな。
何ヶ月もブランクがあっても、変わらないでいてくれるかな。
…………啓さんはどう思うかな。
入院することになってから、ずっとループしている彼のこと。
声を聞きたくて、何度か電話しようかと思ったこともある。
メールやラインだけでも、と思うけど、仕事が忙しいのは目に見えているし、最後に交わした会話を思い出すとあまりにも悲しくなって、勇気が出なくなるのだ。
そんな細かいところまで知らない南田さんは、呑気に
「私もヘルニア治ったら旦那に頼んで北海道にでも旅行に行こうかな〜!それこそ犬ゾリ体験してみたいわ!」
とワクワクしたように言っていた。