青と口笛に寄せられて
バスターミナルで降りて、両手に大きな荷物を抱えてタクシー乗り場を目指す。
身軽な人が多い中、私はかなり目立っていた。
「深雪!」
私の背後で、声がした。
それは、大好きな人の声。
後ろを振り返ると、啓さんが立っていた。
「え!お迎えに来てくれてたんですか!?」
「当たり前だべさ。行かなきゃ泰助さんに怒られっから。……すごい荷物だな」
「お世話になるから、って親に菓子折りなど大量に持たされました」
啓さんは私の手からひょいと荷物を持ち上げてくれて、すぐそばに停めていた車の後部座席に置いた。
「今朝、犬たちに深雪が戻ってくること伝えたんだわ。そうしたら、みんな喜んでたべ」
「ほんとですか!?早く会いたいな〜」
車に乗り込みながら、私は早くもワクワクしてしまっていた。
またあの慌ただしくて、でも楽しい毎日が待っているんだと思うと心が踊る。
運転席に座った啓さんが思い出したように「あ」とつぶやき、そして私に微笑んだ。
「おかえり、深雪」
その目は、太陽の光に照らされて煌々と青く光って見えた。
幻想的な、綺麗な目。
私はそんな彼に笑い返した。
「ただいま、啓さん」
おしまい。