青と口笛に寄せられて
そんなワケで恋人を失い、社会人として最低な辞め方で会社を退職し、ものの2日でアパートを引き払い。
私は実家に出戻った。
実家のお父さんとお母さんは、能天気プラス楽天家。
だから私が仕事を辞めたことも、実家に帰ってきたことも、なんのお咎めもなかった。
「早めに仕事は探しなさいよ〜」って言う程度。
大学生の妹が、嫌味ったらしく文句を言ってるのだけは耳に入ってきたけど、相手にしない。
「姉ちゃん、彼氏にフラれたとかじゃないのー?そんなのに負けずに頑張んなさいよね。だから平成生まれはゆとりがどーのこーのって言われるんだよ」
「あー、うーん。まぁねー。はいはい」
受け流す答えしか口にしない私に、妹はイライラしてたみたいだった。
からっぽになった私の精神状態を少し戻してくれたのが、今回旅行を共にしている歩美だ。
地元の親友で、彼女は電車で20分の銀行に勤めている。
出戻ってきた事情を話したら、ポンと手を叩いて提案してきた。
「私、来週から3日間冬休みもらってるの!もしよかったら旅行にでも行かない?美味しいもの食べたり、温泉にでも浸かってこようよ!」
その誘いで、私たちは行ったことのない北海道へ旅行に行くことを決めたのだった。