正義の味方に愛された魔女1
動揺したまま運転するのは危険だし、電車を待つ時間がもどかしいので、タクシーで警察署へ向かった。
到着して、全く不馴れな場所でキョロキョロしていると、
少し離れた場所に、背の高い30歳前後の男性と穏やかに会話している隼人を見付けた。
二人の表情が見えたので、これはたいしたことじゃない、と、安心出来てしまった。
ならば、いつもの私で声をかけよう。
「隼人ー!迎えにきたよ!何があったの?」
言いながら、両腕をしっかり掴んで、すべてを視た。
「母さん、ただいま。遅くなって……心配かけてごめん。
……あー色々あって……うん、
……………そう言うことだから」
「あー、へー、………ふ~ん………ありゃりゃ~大変だったんだねぇ。
誕生日直前のサプライズプレゼントにしては、全然嬉しくなかったね」
「うん、まったく。それから、この人きっと……」
隼人が手でOKサインを出した。
「うん、そうだね、大丈夫」
心配して迎えに来たであろう母親とその息子の会話にしては、とんでもなくおかしいやりとりに、
スーツの男性は目を見開いて何秒か固まっていた。
が、すぐに気を取り直して状況説明を始めた。
「初めまして、県警捜査一課の荒川龍二です。
実は隼人くんは、現在捜査中の事件にたまたま、通行中に巻き込まれてしまいまして………」
私は一応この刑事さんの話を最後まで聞いた。
「安全を守る立場に在りながら、大切な息子さんを危険な目に遇わせてしまい、大変申し訳ありませんでした」
深々と下げられた頭をなかなか上げてくれないので、
初対面の男の人に失礼だと思ったけれど、両肩に手を添えて頭を上げてもらった。
「お願いですから頭を上げてください。
隼人には傷ひとつ有りませんし、貴方が適切な対処をしてくれたお陰です。
謝られるのはおかしいですから」
《あれ?俺が対処したって言ったか?
この人、俺と同じくらいの歳だろ?
それで、確かあさって19歳になる息子って……養子か?
でも顔そっくりだろ……》
「あはは……でしょ?実の息子だもの。
私、童顔だけどたぶん貴方より10歳くらい年上だと思うわ~。
残念ながら荒川さんのストライクゾーンはハズレてるみたいです」
調子にのって、軽く肩を叩いてしまった。
なれなれしいオバサンとは……良かった、思われていないようだ。
《何?この女、可愛い顔して超怖ぇ~。
デカ長より怖ぇな……あ、やべ、命令無視でまた始末書だ》
信用できる人だという確信があったので、あからさまに遊びすぎて、
私としたことが、お礼を言うのを忘れていた。
「荒川さん、今日は隼人を助けていたいただいて、本当にありがとうございました。
あの時、荒川さんが上司の指示に従わず、とっさの判断で、同僚の方と連携して動いてくださったお陰です。
今後、上から何か処分が言い渡された時はご連絡下さい。私が抗議に伺います。
正義の味方なんですから!」
《読めるのか……心が》
「貴女はいったい、何者なんですか?」
到着して、全く不馴れな場所でキョロキョロしていると、
少し離れた場所に、背の高い30歳前後の男性と穏やかに会話している隼人を見付けた。
二人の表情が見えたので、これはたいしたことじゃない、と、安心出来てしまった。
ならば、いつもの私で声をかけよう。
「隼人ー!迎えにきたよ!何があったの?」
言いながら、両腕をしっかり掴んで、すべてを視た。
「母さん、ただいま。遅くなって……心配かけてごめん。
……あー色々あって……うん、
……………そう言うことだから」
「あー、へー、………ふ~ん………ありゃりゃ~大変だったんだねぇ。
誕生日直前のサプライズプレゼントにしては、全然嬉しくなかったね」
「うん、まったく。それから、この人きっと……」
隼人が手でOKサインを出した。
「うん、そうだね、大丈夫」
心配して迎えに来たであろう母親とその息子の会話にしては、とんでもなくおかしいやりとりに、
スーツの男性は目を見開いて何秒か固まっていた。
が、すぐに気を取り直して状況説明を始めた。
「初めまして、県警捜査一課の荒川龍二です。
実は隼人くんは、現在捜査中の事件にたまたま、通行中に巻き込まれてしまいまして………」
私は一応この刑事さんの話を最後まで聞いた。
「安全を守る立場に在りながら、大切な息子さんを危険な目に遇わせてしまい、大変申し訳ありませんでした」
深々と下げられた頭をなかなか上げてくれないので、
初対面の男の人に失礼だと思ったけれど、両肩に手を添えて頭を上げてもらった。
「お願いですから頭を上げてください。
隼人には傷ひとつ有りませんし、貴方が適切な対処をしてくれたお陰です。
謝られるのはおかしいですから」
《あれ?俺が対処したって言ったか?
この人、俺と同じくらいの歳だろ?
それで、確かあさって19歳になる息子って……養子か?
でも顔そっくりだろ……》
「あはは……でしょ?実の息子だもの。
私、童顔だけどたぶん貴方より10歳くらい年上だと思うわ~。
残念ながら荒川さんのストライクゾーンはハズレてるみたいです」
調子にのって、軽く肩を叩いてしまった。
なれなれしいオバサンとは……良かった、思われていないようだ。
《何?この女、可愛い顔して超怖ぇ~。
デカ長より怖ぇな……あ、やべ、命令無視でまた始末書だ》
信用できる人だという確信があったので、あからさまに遊びすぎて、
私としたことが、お礼を言うのを忘れていた。
「荒川さん、今日は隼人を助けていたいただいて、本当にありがとうございました。
あの時、荒川さんが上司の指示に従わず、とっさの判断で、同僚の方と連携して動いてくださったお陰です。
今後、上から何か処分が言い渡された時はご連絡下さい。私が抗議に伺います。
正義の味方なんですから!」
《読めるのか……心が》
「貴女はいったい、何者なんですか?」