正義の味方に愛された魔女1
お洒落なバーのカウンターで沙耶ちゃんにマスター『アキラくん』を紹介してもらった。



「いつも沙耶ちゃんから伺っていて、一度こちらに足を運んでいただきたいと思っていたんです。
お会いできて嬉しいです百合さん」



都合の良い事に握手を求められて、さっそく彼の心が雪崩のごとく入り込んできた。



《あぁ……これは……》



「沙耶ちゃんに聞いた話だと、僕と同年代の息子さんがいらっしゃるそうですけど、
全然そんなお歳には見えませんね。

とても可愛らしい美魔女さんだ」



《出たよ、社交辞令ご馳走さま》



「………へー、開店後25年以上?
凄いなぁ!この店まだ5年も経ってないんですよ。

長く続ける秘訣って、なんかありますかね?

まぁ、百合さんが魅力的なせいでしょうが……他には……」



《さっきから、アキラくんの台詞に歯が浮いて仕方ないわ…。

歯槽膿漏になって総入れ歯になったらどうしてくれるの…!》



《この人の壁、厚いなぁ。
キャラ作りすぎて疲れるだろうね。
私は素の彼のほうが好きだな…素朴で素敵なのに。色々と勿体ない》



頼んだノンアルコールを受け取った時に、少しだけ触れた指から聴こえた、

《このおばさん、スゲーな。
苦労してんだろうに、そんなの全然感じさせないし…話し易いし…また来てくれっかなぁ》

っていう声が嬉しかった。






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