正義の味方に愛された魔女1
いつもの様に、取り調べ室に入る前に控え室で事件の概容を教えてもらってから、
缶コーヒーを飲んでいた。



「荒川さん、私ね、このお手伝い始めてから、少し力が発達っていうか進化してきたみたいなの」



「ほぅ……どんな風に?」



言い辛い…。

持っていた缶を掌で弄びながら怖々、口を開く。



「言ったら、ますます気持ち悪くて怖がられる気がして、
言い辛くて……。

言おうか言うまいか悩んでて……。

せっかく荒川さんに信頼してもらってるのに、
言ったら、どうなっちゃうん『百合さん!!』」



ビクッ………怒ってる。

荒川さんを怒らせちゃった。



「あー、ごめん、怒鳴った。
怒ってないよ………いや、怒ってるか。



あのさ、俺は百合さん信じてるんだけど。

信じてるどころのレベルじゃ無いの、知ってるよね?

何があっても変わらないって言っただろ!

ついさっきだよ?



一人で悩んでんじゃないよ……頼れよ」



荒川さん、やっぱり抱き締めるの癖になっちゃったね。

こうやって腕の中にいるのが心地いい。



荒川さんの心は、体の外まで、はみ出して視える。

私ひとりぶんを包み込んで膨らんで、
緩衝材みたいに肉厚な心が守ってくれてる感じ。

包容力の大きさが半端ない。



改めて……凄いな、この人は……。





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