正義の味方に愛された魔女1
一生をともにすると誓った相手と結婚した。

二人の間に小さな命が宿り幸せを感じていた時、
夫の心に他の女の存在を視た。



妊娠中の浮気はよくあることで、子どもが生まれたらまた……。

いや遅かれ早かれ、いずれその日が来る事はわかった。



私を想う心など比べ物になら無いほどの大きさで
彼女を包んでいる柔らかい心………。



そんなもの、絶対に視たくなかった。



夫がその人を心から愛しているのが一瞬にして視えてしまった。



その時私は今まで以上に自分の力を呪った。



彼は言った。

「百合に心を見透かされて生きることに疲れてしまった」と。



彼は心の平安を求めて離婚を決意したのだろうか。

罪悪感と責任感を、彼は相場以上の金額の慰謝料に示した。

息子の様子についてだけは、成人するまで時々報告していたが、
今はそれもなくなり、私は28年間一度も彼に会っていない。







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