変わらないモノ…
彼が飲み物を持ってきてくれて私のことを聞いた。

『付き合ってた時の私ってどんな子だった?』
オレンジジュースを一口飲んで聞いた。

「我儘で~泣き虫で~早とちりして勝手に勘違いして怒って~口が悪くて~」
彼は指を折りながら言う。

『ちょっと待って!私そんな最低な人だったの?』
なんて身勝手な彼女だったんだろうと思った。

「はは!そんなわけないじゃん。凄く優しくて思いやりのある明るい子だよ。」
そう言って笑う。
彼の笑顔を見るたびに温かい気持ちになる。

『どうして付き合ったの?』
そんな私を付き合ってくれた彼が不思議だったので聞いた。

「しつこかったから…かな?」
その言葉を聞いて泣きそうになった。

「嘘だって!普通に可愛かった。女の子なのに口悪くて男っぽいのに俺の前では凄い女の子なの。そこにやられてかな~」
私が泣きそうなのを見て言ってくれた。

『私ってそんな子だったんだ~なんか想像できない』
記憶はないけど少し想像してみると面白くて笑ってしまった。

「あ!あと嫉妬が凄かった!!」
思い出したかのように私を指差しながら言った。

『もうマイナスなのはいい…』
その指を掴んで言う。

それからしばらく色んなことを聞いた。
何を聞いても記憶が戻ることはなかった。
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