変わらないモノ…
少しの間そのままでいた。

『コウちゃん?個人戦だからケンさんに見つかったら怒られるよ』
コウちゃんから離れて笑顔で言った。

「森、辛くない?棄権しようか?」
心配そうに私に聞く。

『コウちゃんが来てくれたからもう大丈夫!何個集めた?』
何事もなかったように話を変えた。

「俺はあと一つだよ。森は?」
コウちゃんもまた不愛想なコウちゃんに戻った。

『アキはあと二つ。5つ目を探してたら迷ったの』
スタンプを押す紙を見せながら言った。

「5つ目なら…」
『ダメ!!手助けはなしだってルールでしょ?』
ケンさんが勝手に作ったルールだ。
守らなくたっていいのに今は早くここを離れたい。

「そっか。けどまた迷って途方に暮れるのも困るから途中まで一緒に行こう?」
きっと心配なのだろう。
逆らえない私は頷いた。

そして一言も言葉を交わさずに5つ目のスタンプを見つけた。

「森がスタンプを押してる間に行くよ」
そう言ってまた姿が見えなくなった。
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