「恋模様は雨模様」
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「雨宮君魔法使ったみたい」そう笑いながら大粒の涙を流す彼女にを抱きしめながら、やっとバスが小さく見えた。
「宇川さん、一緒にアーチくぐりませんか?バス乗りながら」僕は少しだけ照れくさく笑うと「新しい門出って意味ととらえていいのかな?」そう宇川さんが嬉しそうに笑うから、僕は彼女を抱きしめて伝えたんだ。
「これから先、宇川さんにとっておきのおいしいコーヒーを入れるので、一緒に飲みましょ?」そう伝えると彼女は言ったんだ。
「私も、雨宮君を見かけたことあるんだ、一度じゃなくて何度も」そう意地悪そうに笑う彼女の笑顔があの日図書館でみた天使のような君で僕はもう何でもいいから彼女を笑顔にさせることができて、本当に嬉しかった。
「乗るよ、雨宮君おいしいコーヒー入れてくれるんでしょ」天使のような彼女からきれいな色の白い手を差し伸べられて、僕たちはバスに乗り込んだ。
「雨宮君ていつもコーヒーの匂いするよね。あたし雨宮君の匂い好き」そう彼女がかわいい笑顔で僕を見上げるから少しだけ、ほんの少しだけ照れくさくて「ほら、もうすぐ門出にさしかかるよ宇川さん」そういうと、いきなり僕の左側にキスをした。
大雨の降る7月の午後
僕たちは恋を知った
大雨が抜けたら
そこには虹の架かる道が続いていた。
でも本当はそれだけじゃない
大雨が振るたびに僕たちは
偶然のように必然のように必ず会っていた。
お互い想いを寄せ合ってたことも気づかずに。
僕たちには、雨模様は特別で、虹の架かる恋模様なのだ。