お願いだから、つかまえて

もうほんとにいやだ。

確かに、交代でお風呂に入った後、速攻で佐々木くんに着たそばから服を脱がされて、遅刻寸前になるまで抱かれたけど。
それもやっぱり、馬鹿みたいに気持ちよかったけど!

佐々木くんは野獣じみた襲い方はしないけど、なんか有無を言わせないところがあって、本当に良いように啼かされて、私は腰が立たなくなって。

「僕達、相当相性良いと思いませんか。」

とか、しらっと言って、一人でさっさと服を着て、腰砕けになった私を車に乗せて、佐々木くんは会社の最寄り駅まで送ってくれたのだった。

「朝はダメです、これから朝は絶対禁止です。」

助手席で服を整えながら恨みがましく言った私をちらっと横目で見て。

「湯上がりの色っぽい姿になるのを夜だけに留めてくれるなら約束しますよ。」

なーんて、言われて…

「理紗さん。顔緩んでますけど。私に口止めする前に自分をなんとかしたほうがいいんじゃないですか?」
「…うるさいなっ! とにかく、そういうことだから! お願いね!」
「わかりましたけど。口止め料貰っていいですか?」
「はっ?」

友理奈ちゃんは人の悪い笑みを浮かべて私に迫る。嫌な予感しかしない。

「会わせて下さい。その彼氏に!」
「なんでよ!」
「だって興味あるじゃないですかー! あれだけ踏ん切りつかずにいたのに、矢田さんから理紗さんを奪っちゃえる男なんて! 見たい見たい見たい!!」
「見たいって…」

目を爛々と輝かせた友理奈ちゃんに押し切られ、私はその場で時間ないのにと叫びながら、佐々木くんにラインをして、予定を立てなければならなくなったのだった…



< 132 / 194 >

この作品をシェア

pagetop