お願いだから、つかまえて
いや、そう、幸せなのは間違ない。
友理奈ちゃんは正しい。私が文句を言うのはおかしい。だけど、佐々木くんの臆面のなさは、やっぱり、恥ずかしい…
「私理紗さんの彼氏にほんとに興味があって。今日はすみません、お呼びたてしちゃって。来てくれてありがとうございますー!」
…順序がおかしいけれど、こうやって一応挨拶はするところが、彼女を憎めない理由でもあって。
私は苦笑して結局友理奈ちゃんのペースに巻き込まれることにしてしまう。
「いえいえ、僕は飲めれば何でも。」
「色々聞いちゃっていいですかー?」
「はあ、別に秘密にすることも無いですけど、何も面白くないと思いますよ。」
「私、こんな感じですから、グイグイ行きますけど、不快だったら言ってくださいね!」
「いえ、むしろ気持ちいいくらいの感じですね。理紗さんと仲がいいのがわかりますね。」
「………」
友理奈ちゃんはそこで目をぱちくりさせて黙った。それから、あ、なるほどー、と呟いた。
「似た者カップルなんですね。なんか大体わかりました。」
「はっ?」
諦めておとなしくしていた私は思わず聞き返した。
「いやだって、同じこと言ったじゃないですか、理紗さんも。」
「え、何が?」
「私、入社したばっかりの頃ですよ。私結構、人から嫌われるんですよ。キツイとかよく言われるし、怖がられたりとか。同期の中でもちょっと浮き気味で。でも、たまたま指導してくれてた理紗さんが、友理奈ちゃんは気持ちい性格してるねって言ってくれて。」