お願いだから、つかまえて
「まだ? こんなになってるのに、理紗さんだって。」
だから、先に話したかったのに!
抱き合って満たされたら、話しどころじゃなくて、疲れきって、朝まで眠ってしまうから。
「私、が…待ってって、言ったから、保留って思っちゃったんだよね? あの時はパニクってて、ごめんなさい。」
決死の思いで、快感を意志で押し戻して一息に言ったのに、佐々木くんはさらっと言う。
「うん、いいよ。」
「あの、聞いて…私、怜士くんと、結婚したいって、思ってる。」
佐々木く…怜士くんはまたソレを微かに反応させた。
「入れるよ。」
「待って、あと…」
「焦らしすぎ。」
だけど、無理矢理にでも入れようとすればできるのに、私が待ってって言うと、待ってくれる。手は全然、止めてくれないけど。
甘くて、優しい。
「さん付けやめて。理紗って呼んでっ…」
ぐっ、と強い力で腰を両側から押さえつけられて、持ち上げられて。
背中いっぱいに彼の肌を感じると同時に耳元に彼の唇が触れた。
「…理紗。」
ゾクッ…と背筋が先に震えて。
その吐息混じりの、低い声が痺れた脳に浸透する前に、身体が一気に溶け出すのを感じた。
「ああぁっ……!!」
どんなに彼に啼かされても。
シーツを握りしめる両手を、きつく掴まれ、ベッドに縫い付けられて。
こうして彼が荒い呼吸を繰り返して、余裕のない呻き声を漏らしてくれると、安心する。
もっと。
もっと、と彼が思っているのが、伝わる。
ああ、私ばかりじゃない。
彼もちゃんと、溺れてくれている…
私達は、いつまでもいつまでも絡み合い、夜通し求め合ったーー……