お願いだから、つかまえて
裸でもつれあったまま、どちらからともなく眠りに引きずり込まれて。
翌朝、髪の生え際からうなじから、熱心に口づけられている柔らかな感触で、目が覚めた。
「んん…おはよ…」
「おはよう。」
後ろからすっぽりと私を抱きしめたまま、怜士くんが答えてくれる。唇が首の後ろに当たっているから、くすぐったい。
触れ合っているところ全てが素肌で、暖かくて、気持ちいい。
と、油断していると、まだ昨晩の余韻を残している敏感な身体を煽るような触り方をしてくるから、私は抗議の声を上げる。
「まさか、また始めようとしてないよね?」
「………」
嘘でしょ、図星?
「昨日あれだけしたのに? 昨日の朝もしたのに? 朝はダメって言ったのに?」
「起きるといい匂いするから…平日は我慢してるんだからいいと思う。」
「我慢って…ほとんど毎晩してるじゃない!」
「毎朝そちらの希望を飲んでるので。」
「ちょっ…と…」
今度は布団の下で、腰をいやらしく撫でられる。
「いいよ、寝てて。好きに触るから。」
「寝ててって…」
こんなに甘い刺激を肌に与えられながら寝ていられる女がいたら見てみたい。
「ん…もう、怜士くんの色狂い。信じられない、身体持たない!」
「触っていると本当に気持ちいいから、理紗の肌は。今はこの身体に溺れてるから、浮上するまで諦めて。」
ふ、浮上…なんて。
あまりに毎日、隅々まで徹底的に触れられるものだから、私もついお風呂上がりには、身体中念入りにボディクリームを塗ったりしていて。
…浮上、されたく、ないんだろうな。