お願いだから、つかまえて
目つきは鋭いし、態度は辛辣だったけれど、修吾自身は特に人を避けているつもりはなかったらしい。
だから、何か聞けばちゃんと答えてくれた。しかも仕事のできる人らしく、説明が簡潔かつわかりやすかった。
…まあ途中からは下心のおかげか過干渉多気味ではあったけれど…それに乗っかって私はどんどん適応して、能力を上げていくことができた。
その様子を見て、他の若い社員たちも、徐々に修吾に話しかけるようになり、実は面倒見のいい一面に触れ、やがて遠巻きながらも慕うようになっていった。
「理紗が来てから俺も仕事しやすくなったよ、実際。結婚してもずっと居てくれたら俺も助かる。」
今や、修吾のサポートはメインの仕事だし。
私達は阿吽の呼吸で働けている、と思う。
「光栄です。」
私が微笑んだのを見て、修吾も鷹のような目を柔らかく細めた。
「本当に最高の女だよ、理紗は…」
「ねえそういう台詞って言ってて恥ずかしくない?」
「本心を言うのに恥ずかしいも何も無い。」
真顔で言い切って、キスをしてくる。
それはだんだん、深くなって。
「やばい、もう一回いい…?」
どこか切なさを孕んだ声で修吾が囁いた。
いい? と言いながら、もう私の胸を手のひらで包んでいる。
私の身体を傾けて、腕枕をしていた片手を抜いて。
さっきまで彼が入って濡れているところを、指で撫で始める。
「…ん、ねえ、でも時間いいの? 予約してるんでしょ?」
覆い被さってくる修吾に言うと、余裕、という返事が返ってきた。
「余裕って、だって何時…あっ…」
いきなり入ってきた。もうこうなるとだめだ。完全にスイッチが入っている。
「理紗…」