お願いだから、つかまえて
じゃ、なくて!!
はっと我に返る。
「ちょっと、ほんとにっ…佐々木くん! 私、彼氏いますって!!」
話したじゃん! 知ってるじゃん!!
「…別に、それでもいいですよ。」
「それでもってっ…」
それでもいいって何?!
身体の関係だけでいいってこと?
絶対、イヤ!!
ていうか、佐々木くん性欲とかあるわけ?!
「待っ、…てっ…て…」
大きいけれどすんなりした手が、後頭部にまわってきた。
そのまま髪を柔らかく掴んで、首もとに下りてきて、指先が背骨に繋がる首の骨の上に、すっと触れた。
ゾクッ、と快感が走って、身体がぴくっと震えてしまった。
「待たないですよ。」
佐々木くんの胸を押し返そうとした私の手から、持っていることすら忘れていたコップが滑り落ち、水が床にぶちまけられた。あ、と思っている間に両手首をつかまれ、お互いの胸の間にしまわれてしまう。
だんだん、一回のキスが長くなってきた。
「は、…佐々、木、く…」
「待ったら、理紗さん、判断力戻ってきちゃうじゃないですか。」
「ちょ…」
ちょっと、何それっ…
首の後ろから髪の生え際あたりを延々触られながら、キスがどんどん深くなってきて、
私の息も上がってしまう。
そんなつもりなかったけど、私酔っ払ってるのかな…
ゾクゾクと快感がとまらない。どこかのネジが緩んじゃっているのか、声も抑えられない。
「あ、ん、ぅ…」
やがて難なく舌が滑り込んできて。
力が抜けきっている身体が、あっさり押し倒された。