お願いだから、つかまえて

「び、びっくりした…」

過剰反応だったかな。

「今日もいい匂い、理紗…」

髪を掻き上げられ、首筋に鼻先を当てられて。
あ、この熱い息遣い、スイッチ入ってる。

「修吾、お茶…飲まないの?」
「飲む…」

飲む、と言いながら、修吾は私のブラウスの下に手を入れ、胸をまさぐっている。

「先週、出来なかったから…」

うーん。
そうだよね。
ここで拒むと不審だ。私は腹を括った。

自然に、自然に…

ここでガバッと向き直ってキスとかすると、たぶん、らしくない。
いつもの私だったら…

「ん、ねえ、修吾…」

甘い声で、名前を読んで…胸の先端をつままれて、あっ、と声を上げて。
ええと。

まずい。

「もー、修吾ってば…」

どうしよう。
いつも、どうしてたっけ。

こんな、感じなかったっけ?

「ちょっ、と…ここでするの?」
「たまには良くない?」
「や、…」

ジーンズのファスナーを下ろされて、下着の上から触れられそうになるのを、すんでのところで止めた。
だって、全然、まだ…

「ちゃんと、ベッドでして。」

ちょっと振り返って、上目遣いで。ちゃんと、この目が潤んでるといいんだけど。

目が合ったら修吾が一瞬、たまらないって顔をしたから、渾身のぶりっ子が決まったことを確信した。

「…わかった。」

身体がふわっと浮いて、修吾の腕に運ばれて、ベッドルームに向かう。

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