お願いだから、つかまえて
後頭部の髪に手を差し込まれて、身体はシンクに押しつけられた。
「っ、佐々木くっ、ん…」
だからダメなんだって、
この人のキスは、私を蕩かしてしまう。
そんなことしたって、佐々木くんにとっては何だって言うの?
私をつかまえる気なんか、ないくせに。
私なんか、他の男の人のものでいいって言うくせに。
なのに、彼にこういうふうにされたら、逆らえない。
なんて、簡単な女なんだろう、私は。
簡単で、浅はかで…
「は…」
上顎を甜められ、歯列を辿られ。
何度も、舌を舌で、表も裏もゆっくりとなぞるように絡ませられながら、指先で耳を弄られて。
ぞくぞくと肌が粟立った。
「んぅ…」
五感が痺れて、甘い快感でしか、自分の身体を感じられない。
唇が離れてからやっと、佐々木くんがいつの間にか私の背中を抱き込んでいたから、かろうじて立っていられたのだと知った。
佐々木くんが何か品定めするみたいな目つきで私の首元を見て、首筋に触れてくる。
ぴくっと身体が震えた。
首に手をかけたまま親指が喉元を伝う。ほとんど意識せず喉を差し出すみたいに顎を上げると、佐々木くんが屈んで唇でそこに触れた。
「…あ…」
指で通った道すじを、舌で辿られる。
首がのけ反った。
服の下に手が入り込んできて、ウエストを伝って、ブラの下に潜り込んで。
もうとっくに敏感になっているてっぺんを刺激されて、甘ったるい声が漏れる。