恋のお試し期間
「食わないならもらう」
「おっと!から揚げは渡しません!」
「ちっ」
「私だって学ぶんですよ。ふんだ。マゾで結構。
慶吾さんの事はこれからも信じて付き合いますから」
誰にだって過去はあるし、言いたくない黒いものだってある。
里真はそんな世界とは無関係な所でのんびりと生きてきたけれど。
それじゃダメだと痛いほど理解している。
「どうぞ。締めにラーメン行くかそれとも茶漬けにするか…」
「……私お茶漬け。シャケがいい…なー…」
「お前そのまま行くとおっとりタヌキじゃなくてうっちゃりタヌキになるぞ」
「え?タヌキ?」
呆れたようななんともいえない苦い顔をする矢田。
里真は何か分からないけど締めのシャケ茶漬けはとても美味しかったです。
満腹で気分よく部屋まで戻ると明日も遅れるなよと彼に釘をさされ
里真はタイマーを設定しベッドにもぐりこむ。
ホテルまで結構歩いたはず。
明日から節制したらいいし。
たまにはこんな日もいいよねと何処までも自分に甘い。