恋のお試し期間
お先真っ暗な里真を連れてやってきた部屋。
「ここは…資料室?」
「必要な過去の資料そろえとけ。リストこれな。揃えられたら俺に報告すること」
「そ、そんなリストラ対象の人がやるみたいな」
「今のお前は文句を言える立場ですか?」
「いえ。違います」
「じゃあやれ」
「あの。すいません」
「お前1人の所為でみんなが迷惑する。お遊びじゃない、仕事だ。失敗できないんだ」
「……はい」
イライラしながら里真を1人残し去っていった。
テンパってしまったのが嘘みたいに静まる。
というか、あまりにも膨大な資料の山を前に閉口してしまったとも言えた。
だが里真でも出来る仕事をくれたのだから。ここは少しでも力にならないと。
人が居ない薄暗い、変な匂いがするけど。
戻されるよりはマシだ。
「あれ。例の彼女は?」
「ああ、足手まといだから資料室においてきた」
「あんな所に?お前それはあんまりじゃ」
「いいんだよ。どうせこっち来たって何もできやしないんだから」
「そんなに出来ないんだ。こっちサポートまわるくらいだからすごい出来ると思ってた」
「気のせいだ」
「にしたってお前厳しすぎじゃないか?前も怒鳴ってたんだろ?
あれみて上司が組ませる相手変えたって話しだぞ」
「…でも結局はこうなるんだよな」
「なんだ?」
「別に。何でもない」
昼を過ぎて夕方に差し掛かりそしてどっぷりと夜の闇へ。
そこまでくると人は大分減っていって静かな会社へと変わる。