熱愛には程遠い、けど。
自席につくと、昨日は遅刻をした上司がすでに席に座っていた。
「宮下さんおはようございます」
「古川さん、おはよう」
「今日は早いんですね」
「昨日遅刻したからさ」
「だと思いました」
笑い合い、お互いに笑顔で朝を迎えるのはよくあることだ。
事務所内には私たちの他にすでに出社して仕事をしている社員はいるけど、私たちの席からは離れている。私は先ほどトイレで消化できなかった心のモヤモヤを宮下さんにぶつけてみることにした。
「宮下さん。結婚、考えた事ありますか?」
「昨日は結婚なんて全然考えてないとか言っていた人がどうしたの急に」
「まぁ、そこは察してください。で、どうなんです?」
「えっと……」
上司と言えど仕事を離れればフランクに接することが出来る宮下さんにだからこそ出来る質問だったが、さすがに唐突すぎたようだ。宮下さんは困惑した様子を見せながらもそれは一瞬で、すぐにいつもの笑みを見せた。
「ないない。僕にそんな決断力はないよぉ~」
「そうですか……」
「ごめんね、参考にならなくて」
別に、何かを参考にしようと思ったわけではないけど……。ただ、話を聞いてほしいだけかもしれない。宮下さんになら話せる気がするけど、場所を考えるとそれは今ではない気がする。
「結婚ってさ、よくタイミングって言うじゃない? まぁ、それってプロポーズをする、されるのタイミングだと思うんだけど」
宮下さんは机に置かれた書類を選別して整理をしながら口を開いた。
「本当にその通りで、タイミングを逃したら二度と元には戻れなくて、その人とは別々の道を歩むことになることだってあると思う。それを考えたら自分の中で答えはもう決まってくるんじゃないかな」
宮下さんは書類に向けていた目をこちらに向けると、人の良さがにじみ出る優しい目をして微笑んだ。
背中を押してもらったような気がしてふわっと心が軽くなる。私って、案外単純。
「……はい」
頷いて笑顔を見せると、宮下さんも同じように頷いた。
「宮下さんおはようございます」
「古川さん、おはよう」
「今日は早いんですね」
「昨日遅刻したからさ」
「だと思いました」
笑い合い、お互いに笑顔で朝を迎えるのはよくあることだ。
事務所内には私たちの他にすでに出社して仕事をしている社員はいるけど、私たちの席からは離れている。私は先ほどトイレで消化できなかった心のモヤモヤを宮下さんにぶつけてみることにした。
「宮下さん。結婚、考えた事ありますか?」
「昨日は結婚なんて全然考えてないとか言っていた人がどうしたの急に」
「まぁ、そこは察してください。で、どうなんです?」
「えっと……」
上司と言えど仕事を離れればフランクに接することが出来る宮下さんにだからこそ出来る質問だったが、さすがに唐突すぎたようだ。宮下さんは困惑した様子を見せながらもそれは一瞬で、すぐにいつもの笑みを見せた。
「ないない。僕にそんな決断力はないよぉ~」
「そうですか……」
「ごめんね、参考にならなくて」
別に、何かを参考にしようと思ったわけではないけど……。ただ、話を聞いてほしいだけかもしれない。宮下さんになら話せる気がするけど、場所を考えるとそれは今ではない気がする。
「結婚ってさ、よくタイミングって言うじゃない? まぁ、それってプロポーズをする、されるのタイミングだと思うんだけど」
宮下さんは机に置かれた書類を選別して整理をしながら口を開いた。
「本当にその通りで、タイミングを逃したら二度と元には戻れなくて、その人とは別々の道を歩むことになることだってあると思う。それを考えたら自分の中で答えはもう決まってくるんじゃないかな」
宮下さんは書類に向けていた目をこちらに向けると、人の良さがにじみ出る優しい目をして微笑んだ。
背中を押してもらったような気がしてふわっと心が軽くなる。私って、案外単純。
「……はい」
頷いて笑顔を見せると、宮下さんも同じように頷いた。