Beautiful Life ?
 ベーカリーカフェに入って小休憩を取るとすぐに店を出て街をブラブラして散策をする。
 オシャレなダウンタウンの雰囲気を楽しんで、しばらく歩いていると緑に囲まれた大きな公園に出て憩う地元の人々の姿を見てほっとする。次々と表情を変えていく街並みに夢中になる。
 ベンチに腰かけて空を見上げる。緑の隙間から明るい空が見える。耳を澄ませばバスケットボールが地面に弾む音がする。

「んーーーっ!!」

 両手をあげて上半身を伸ばす。こんなにも心穏やかな時間を過ごすのはいつぶりだろうか。
 滞在期間は一週間。まだ一日目だけどずっとここにいたいと目を閉じながらそんなことを考えていた。
 滞在中に現地の素敵な男性と恋に落ちてそのまま結婚なんてことになれば永住権取得も夢じゃないかもしれない。

「……ふふっ」

 馬鹿な妄想だ。絵里は口元に笑みを浮かべながら心の中で呟いた。
 二度と結婚はしない。恋は刺激とときめき、そして楽しむだけでいい。
 ふぅとこの日はじめて一息つくと、急な眠気に大あくびが出てしまった。時差ボケだ。やはりホテルに行って一休みするべきだったかと思うと同時に今夜宿泊するホテルのことを思い出す。
 宿探しもかねて次の目的地へ向かって移動しようと立ち上がると激しい男女の言い争いの声が聞こえてきた。

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