Beautiful Life ?
閑静な住宅街に佇む白を基調とした改装したばかりのような綺麗な外観。広いロビーではにこやかなスタッフのお出迎え。ゆったりとしたソファが並ぶ待合室は、診療時間終了間近だというのに大勢の患者で混雑していた。
受付を済ませ、タイミングよく二人分の空席が出来たソファへ並んで腰掛ける。滑り込みセーフ。どうやら絵里たちが最後の患者のようだ。
「待ち時間長くなりそうね。大丈夫?」
「だから家で寝てれば……」
「もう来ちゃったでしょ。つべこべ言わないの」
強い態度の娘に黙る母親。どちらが親だか分からないなと同時に同じことを思う。
「ここの内科って4、5年前にここに移転してきたのよね。いつも混雑してるからかかったことなかったけど」
「そうなの?」
「知らないの? ……って、あんたは家出てたから知らなくて当然か」
絵里はポケットに入れていたメモを取り出して目を落とす。美景が教えてくれた西野クリニックは、絵里の自宅から一番近くにある内科だったが美景がここを教えた理由はそれだけではないような気がしていた。
西野、西野……と無意識に頭の中で繰り返す。そしてふと一人の人物の顔が思い浮かんで目を見開いた。
「小坂さーん! 小坂さんいらっしゃいますかぁ?」
看護士の呼びかけにはっとして顔を上げる。
「はじめてでしたよね? こちらの問診票に記入お願いできますか」
絵里は裕子が問診票とボールペンを受け取るのを横目で見ながら「まさか、ね」と呟いた。
受付を済ませ、タイミングよく二人分の空席が出来たソファへ並んで腰掛ける。滑り込みセーフ。どうやら絵里たちが最後の患者のようだ。
「待ち時間長くなりそうね。大丈夫?」
「だから家で寝てれば……」
「もう来ちゃったでしょ。つべこべ言わないの」
強い態度の娘に黙る母親。どちらが親だか分からないなと同時に同じことを思う。
「ここの内科って4、5年前にここに移転してきたのよね。いつも混雑してるからかかったことなかったけど」
「そうなの?」
「知らないの? ……って、あんたは家出てたから知らなくて当然か」
絵里はポケットに入れていたメモを取り出して目を落とす。美景が教えてくれた西野クリニックは、絵里の自宅から一番近くにある内科だったが美景がここを教えた理由はそれだけではないような気がしていた。
西野、西野……と無意識に頭の中で繰り返す。そしてふと一人の人物の顔が思い浮かんで目を見開いた。
「小坂さーん! 小坂さんいらっしゃいますかぁ?」
看護士の呼びかけにはっとして顔を上げる。
「はじめてでしたよね? こちらの問診票に記入お願いできますか」
絵里は裕子が問診票とボールペンを受け取るのを横目で見ながら「まさか、ね」と呟いた。