Beautiful Life ?
昼休み、ハンカチと携帯電話を持って化粧室へ向かおうとする絵里を呼び止める男性。
営業部の松永部長だ。
出社初日から絵里に気さくによく話しかけてくれた四十代後半の既婚男性。背が低く少し太り気味の体系だが、スーツの着こなしは清潔感があり、身に付けている小物もブランドものばかりだが品を感じてイヤミでない。妻のセンスだろう。
絵里の採用を後押ししたのは彼だと言う。
「今夜斉藤君たちを連れて飲みに行こうと思っているんだけど一緒にどう?」
「ごめんなさい。今夜は予定が……」
「恋人とデート?」
「そんなんじゃ」
やんわりとした笑顔で首を振る絵里。
営業部に配属されてまだ一週間足らずなのに松永からの誘いを受けるのはこれで2度目だった。
明らかに絵里を気に入っている様子の松永は度々絵里を飲みの場に誘う。絵里は少しの戸惑いを感じていた。採用をしてくれた恩はあるが、二人きりではないとは言え部長クラスに頻繁に誘われれば周りの目が気になる。二人きりで誘われているわけではないし新人を気遣って誘ってくれているようにも見えなくはないが、絵里はどことなく下心のようなものを感じていた。
「残念だけど今日は諦めよう。来週の小坂さんの歓迎会までお預けだ」
「すみません」
「いいんだ。じゃ、引きとめて悪かったね」
立ち去る松永の背中を見送っていると手に持つ携帯のバイブが震えた。ディスプレイを見ると一件の新着メールの受信表示が出ていた。
営業部の松永部長だ。
出社初日から絵里に気さくによく話しかけてくれた四十代後半の既婚男性。背が低く少し太り気味の体系だが、スーツの着こなしは清潔感があり、身に付けている小物もブランドものばかりだが品を感じてイヤミでない。妻のセンスだろう。
絵里の採用を後押ししたのは彼だと言う。
「今夜斉藤君たちを連れて飲みに行こうと思っているんだけど一緒にどう?」
「ごめんなさい。今夜は予定が……」
「恋人とデート?」
「そんなんじゃ」
やんわりとした笑顔で首を振る絵里。
営業部に配属されてまだ一週間足らずなのに松永からの誘いを受けるのはこれで2度目だった。
明らかに絵里を気に入っている様子の松永は度々絵里を飲みの場に誘う。絵里は少しの戸惑いを感じていた。採用をしてくれた恩はあるが、二人きりではないとは言え部長クラスに頻繁に誘われれば周りの目が気になる。二人きりで誘われているわけではないし新人を気遣って誘ってくれているようにも見えなくはないが、絵里はどことなく下心のようなものを感じていた。
「残念だけど今日は諦めよう。来週の小坂さんの歓迎会までお預けだ」
「すみません」
「いいんだ。じゃ、引きとめて悪かったね」
立ち去る松永の背中を見送っていると手に持つ携帯のバイブが震えた。ディスプレイを見ると一件の新着メールの受信表示が出ていた。