Beautiful Life ?
　絵里は一瞬戸惑いと緊張をにじませる表情を見せたが「うん、ありがとう」と言って頷いた。覚悟はしていた。顔を上げた絵里の表情はどこか晴れやかでほっとしているように見えた。リアはそんな絵里を見つめてふと一つの疑問を投げかけた。

「エリ、パパの再婚を聞いても平気そう。傷つくかなって思って少し心配したんだけど……メールの返事も普通だったし、今日も……」
「ご、ごめ……」
「ううん。怒ってるわけじゃないよ」

　リアはぐっと顔を寄せて絵里の顔を覗き込んで言った。

「もしかして、エリにもパパみたいにそういう相手がいるとか？」

　リアのいうそういう相手とは再婚相手のことを指しているのだろう。再婚相手はいない。でも絵里の脳裏に真っ先に思い浮かんだのは西野の顔だった。しかし彼とはまだ何も始まっていない。
　絵里は首を一度横に振ってから「でも」と続けた。

「その時は、ちゃんと。一番に報告するね」

　ちゃんと気持ちに区切りをつけて、堂々と自分の気持ちを伝えることが出来たその時は――。
　その後二人はリアが辻合と待ち合わせをしているという時間まで、ニューヨークで一緒に過ごした時のように尽きることのない会話をして過ごした。

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表紙・目次

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