Beautiful Life ?
 目的の神社に到着すると夕方といえど多くの人で賑わっていた。石段を上りながら、絵里は突如その足を止めた。

「西野君」

 呼び止められ一段先で西野は振り返った。じっと自分を見上げる絵里が何を考えているか見当もつかない西野は「なに?」と平然とした様子で言った。

「私……西野君のこと、好きよ」
「……え」

 突然の告白に西野は絶句。絵里は頬を染めて俯くと、西野を抜いて足早に階段を上っていく。
 昨晩絵里はいつ西野に告白しようかと長時間悩み、悩みぬいた末に、一日の終わりに、別れ際に気持ちを伝えることを決めていた。その悩んだ時間は無駄に終わった。高まる気持ちを抑えられず、その上今の西野の気持ちを知っている絵里は我慢が出来なかった。

 拝殿までの列を並ぶ間、二人はよそよそしく黙ったまま。
 拝殿にたどり着き一緒にひもを引いて大きな鈴を鳴らしながら西野が口を開いた。

「さっき、告白したんだよね?」
「うん……ごめん。我慢できなくて。場所とか、もっと考えろって感じだよね……」
「いや、いいんだけど」

 鈴を鳴らし終えると拝殿前に進んで賽銭を投げ入れる。

「あれは、OKの返事ってことだよな……?」
「……うん」

 頬を染め深く頷く絵里。そんな様子の絵里を見て確認すると西野は前を向いた。
 そして一緒にお辞儀をして手を合わせ深く礼をした。

「行こうか」
「うん」

 顔を上げた二人の表情は晴れやかで、目を合わせれば照れくさそうに幸せな笑みを浮かべて見つめ合った。

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