【短編】マイ・スイート・ショコラホリック

せっかく来たんだし、安いんだし、何か記念に買って食べようかなぁ。なんて、そんな軽い気持ちでチョコレートを三粒買った私。

シンプルなチョコレートと、小さなオレンジピールの乗ったチョコレートと、ヌガーが入っているらしい丸いチョコレート。

まずはシンプルなチョコレートからだと、四角くシンプルなチョコレートを口に放り込んだ。その瞬間、何かがビビッときた気がした。

そして、私はチョコレートの並べられたショーケースの向こう側に立っている学生に詰め寄ってしまった。


「え、あ、あの……」

「お願い!教えて‼︎」


どうしても、止められなかった。

この目の前の、エプロンを身につけている女の子が困っていることも分かっているのだけれど、どうも止められなかった。


「このチョコレート作った子を、呼んでください……!」


ショーケースに額をつけて頼み込む。本当に、恥ずかしいくらい必死だ。

しかし、それでも私はこれを作った子に、このチョコレートが凄く美味しいということと、ありがとうを伝えないといけないんだ!……なんて、謎すぎる使命感すら出てきていた。

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