龍神のとりこ
コハクの動きが止まった。


「ぁ、、」


沸るような鼓動が抱きしめた彼の背中から伝わってくる。

「コハク、、

あたし、ここにいるよ、、」

腕いっぱいにコハクを抱きしめる。

膨れ上がった筋肉が、トーコの腕の長さでは届き切らないくらいにコハクの身体を分厚く変化させている。

トーコは込み上げてくる想いに耐えきれなかった。背中にささやく。
「コハク、、苦しかったね、、ね、、」

ぽろり、ぽろり、、

涙がコハクの背中に伝う。


コハクのドス黒かった瞳が紅色に戻ってきていた。




「コハク、お前がしたかったのはこの龍神にとどめを刺すことか?

それともその娘を救うことか?」








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