龍神のとりこ
倒れ込んでいたコハクをふわあっと風が包み込んだ。
硬くなった皮膚を撫でるように過ぎていく。



小さな手がコハクの胸の前で重なる。

「トーコ?」

「行かないで。どこにも行かないで。」



小さな手がコハクを後ろから抱きしめていた。

ぎゅっと抱きしめられた身体は元の姿に戻っていた。
コハクはほっと息を吐いた。


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